ロクでもナイズドスイミング

映画の感想を書きます

『ラプラスの魔女』三池ラボに集まれ!

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ラプラスの魔女

 

科学的に、ありえません(恫喝)

 

監督

三池崇史悪の教典

キャスト

櫻井翔(青江修介)

広瀬すず(羽原円華)

福士蒼汰(甘粕謙人)

 

あらすじ

温泉地で起きた不可解な変死事件を調査していた大学教授・青江のもとに、謎の少女円華が現れる。未来を予知する能力をもった「ラプラスの魔女」を自称する彼女を怪しむ青江だったが、次々とその力を裏付けるような事象が発生する。

 


「ラプラスの魔女」予告

 

 

※ネタバレ、多分してます。

 

三池崇史監督は、去年の『無限の住人』が誰に何と言われようと大好きだったので、個人的には今が一番脂がのってるんじゃないかとすら思ってます。

そして、かの大傑作『ヤッターマン』以来となる櫻井翔の起用というのがまた嬉しくて。三池監督とのコンビはこの人の生来のコメディセンスというか、絶妙に間の抜けた感じを最高に引き出してくれます。

 

ひとえに言うと今回の主人公って、完全に蚊帳の外なんですよね。

「そんな事、科学的にありえません」

 ↓

ジャーン

 ↓

なっ、ありえない…!

って言うだけのポジションというか。プロフェッショナル感を漂わせておいて実は作中一番の凡人という。今年で言うところの『空海』みたいな。

でもそれでいて、ちゃんと青江教授の物語になってると思えるところがいいなと。どの悲劇とも無関係な一般人が、天才に混ざって頑張り抜く、自分の使命をまっとうする。クライマックス直後に発する一言が、なんかすごくしっくりきて。ああ、この人の想いが結実したんだなって思える瞬間。

櫻井さん、おそらくラ行が弱いと思うのだけど、「硫化水素」とか「ラプラス」とか散々言わされてるのも楽しかった。彼の周りの天才たちが後半に向かって険しい顔を覗かせていく中、反対にどんどん人畜無害な表情になっていくところにも奇妙な安心感がある。ラストシーンに至ってはなんか寝起きみたいだった。いや、いい意味で。

 

唐突な車輪の回転から始まり、パッチワーク的にカットを飛ばしていくオープニング。流れとしての辻褄よりも、アクションとリアクションをそのまま連結させていくようなスタイルは今までになく新しかったと思う。個人的に去年の『ジョジョ』は、現場のグルーヴ感を大事にするあまり、カットのキレを損なっていたことが弱点だと感じたので、そこが改善というか、明確に進化したように受け取ることができた。これをドラマ的と思うかどうかは人それぞれだと思うけれど、流れ上あるはずのくだりすらスパンと省略して繋げてしまう暴挙もときには必要かなと。なくてもいいシーンは結果いらないと思うし。

全編、豊川悦司は一世代前の映画監督モノマネに徹している。独白シーンでの見た事ないようなけったいなカメラワークも含め、実際トヨエツのパートはなんかATG感というか、清潔な倒錯という感じで気持ちが良い。一片も同情の余地がないクソ野郎。こいつの活躍が余計に映画の力点を見失わせたりもするんですが。

ATGといえば

 

広瀬すずは存在そのものが天性のファム・ファタールなのでThat'sハマり役。福士蒼汰に関しては画面にいるだけで嬉しくなるタチなのですが、最近ますます地力が上がってきたんじゃないでしょうか。脇役への収まり方が板に付いていた。

 

結局最後まで、ラプラス方程式のこともさっぱりよくわからないし、天才たちに対峙する青江教授が「凡人の価値」を発揮する瞬間も訪れません。

題材への向き合い方もとんでもなく雑だと思うのですが、この映画こそが未来への可能性に溢れた三池さんの実験場だと、ひしひしと感じるのであります。そう、この映画の存在自体が不確定性原理を打ち破るのだと!

まあ単純に、心の底から楽しく見れました。真に肌になじむ映画だったというか。

 

だから皆さん先入観は捨てて、是非おすすめです!もし全然合わなかったとか、そういうあなたには、そうですね…その、

ごめんね!

 

 

映画『ラプラスの魔女』公式サイト