ロクでもナイズドスイミング

映画の感想を書きます

映画感想『暗黒女子』この映画が闇鍋だ

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暗黒女子

 

作り手と観客のいたちごっこを

死んだ目で眺める彼女たちに幸あれ。

 

監督

耶雲哉治

キャスト

飯豊まりえ(白石いつみ)

清水富美加(澄川小百合)

千葉雄大(北条先生)

 

あらすじ

聖マリア女子高等学院でカリスマ的存在だった白石いつみが謎の死を遂げた。手に一輪のすずらんの花が握られていたことから噂が噂を呼び、いつみが所属していた文学サークルのメンバー五人に疑いの目が向けられる。そんな中、文学サークルで「白石いつみの死」をテーマとした作文の朗読会が行われ、五人の作文はそれぞれ違った犯人像を告発しはじめる。

 


『暗黒女子』映画オリジナル予告編

 

 

 

いちファンとして清水富美加の公開待機作をすべて見るという苦行を自らに課しているのですが、その第一弾です。

 

 

原作が有名な「イヤミス(イヤな気分になるミステリー)」なので、当然胸糞の悪い結末が待っています。ストーリーとしては覚悟していても「げげっ」と思ってしまうほどの強烈な幕引きです。

それでもある程度さわやかな気持ちで「いやー、やなもん見た」と劇場を後にできるのは、この映画の「どっかで見たことのある女優が悪女っぽいコスプレ演技をしている」というメタ構造と、多分物語の意味も監督の意図も超えたところにある女優陣の破壊力にあると思います。

 

「美少女」という商品価値からカリスマ的存在であること、はたまた等身大であることを強要されることが多い若手女優という稼業ですが、一方で意識の高い作り手たちはしばしばその着せ替え人形を泥水にくぐらせたりして楽しみます。

少女たちはみんなの理想としてのイメージを背負わされては、Sな作り手がそれを破壊して、のいたちごっこの始まりです。

 

行き着くところまで行ったのがこの映画だと思います。共感できるレベルとしての悪女演技が、後半につれて許容できる範疇を超えていき、ラストでドン引きさせたら勝ち!みたいな。しまいには「女子高生というだけで価値がある」とかセリフで言い出す有様です(言い回しは違うかも)。

 

しかし、実際に「少女」を演じている少女たちはといえば、制服を異物のようにまとい、繊細さどころか「いっちょやったろやないか」と言わんばかりの仕事人の目をしています。終結に向かって役の上での関係は壊れていくのに、むしろ役者同士は共謀関係のようになっていきます。もうこれは監督の手には負えてないだろうと。それくらいに個々の地力が強いです。

 

観客も監督も置き去りにして牙をむいた女優たちの顔には少女性なんて一切感じません。これからそれぞれがどんな道を歩むのかわかんないけど、つまんないところにいつまでも居ないで、好きなところに行って好きなことしたらいいよ!制服なんて焼き捨ててしまえ!ファック!

 

というような謎の高揚感を感じるエンディングでした。