読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ロクでもナイズドスイミング

映画の感想を書きます

映画感想『ナイスガイズ!』骨折り損のくたびれ探偵

新作映画

f:id:wakaieriku:20170302171306j:plain

ナイスガイズ!

(原題:The Nice Guys)

 

俺たちだって、

たまには勝つ。

 

監督

シェーン・ブラック

キャスト

ライアン・ゴズリング(マーチ)

ラッセル・クロウ(ヒーリー)

アンガーリー・ライス(ホリー)

 

あらすじ

腕っぷしの強い示談屋ヒーリー。妻に先立たれたべろべろ探偵マーチ。一人の少女の失踪事件をきっかけに引き合った二人はひょんな事からコンビを組むことになる。さらにはマーチの一人娘ホリーも捜査に首をつっ込むが、実は事件の裏には国家の陰謀がからんでいて…。

 

m.youtube.com

 

↑この予告編だけでフゥ〜!となった人はもう絶対アレなので見てください。

※ネタバレ無です、多分。責任は取れません。

 

 監督は「リーサルウェポン(1987)」などの脚本を担当したバディ(相棒)ムービーの名手、シェーン・ブラックです。

今作「ナイスガイズ!」はシェーンブラックお得意の凸凹バディもので、70年代のLAを舞台にノリノリのディスコサウンドに乗せて事件の謎を追う、痛快アクションコメディです。

などと知ったかぶりで語っていますが、正直なところ「リーサルウェポン」を始めシェーンブラック作品は一本も見たことがないので、セルフパロディとか言われてもぶっちゃけよくわかりません。見てから書けよ、って話ですが。

でも、知らないはずなのにどこか実家のような安心感があります。無駄な暴力。無駄なおっぱい。割れまくる窓ガラス。前置きなしで急にしんみりするところとか。つけっぱなしのテレビが昼頃に流す映画の気風というか。それらは多分影響を受けた2世3世であって、きっとこれがパイオニアなんだろうなと見てて思いました。「シェーンブラック印のバディ映画の復活だ!」とか言われてるのを見てちょっと気が引けてたんですけど、前知識ゼロでも全然楽しめました。ていうか、めちゃくちゃ楽しかった!

 

 

 

さて、ライアン・ゴズリング演じる、飲んだくれのダメダメクソ探偵マーチ。

f:id:wakaieriku:20170301235504j:plainやれやれだぜ

甘いマスクの演技派俳優が突き抜けたコメディ演技に挑戦、とだけ聞くと夕日の向こうでラジー賞が手を振ってる感じですが、そこはさすがのラ・ラ・ライアンゴズリング。本人の何でもこなす芸達者ぶりと飄々とした居ずまいが、このマーチというダメ人間にどこかかわいらしさを持たせています。現実でやったらタコ殴りものの失敗も、マーチがやらかすと「んもう、しょうがないなあ」という気持ちになってしまいます。※個人の感想です

f:id:wakaieriku:20170302170437j:plainキャー

あと、やっぱりライアンの作品選びの審美眼はパナいなと。

 

 

ラッセル・クロウ演じる、何でも腕力で解決の示談屋ヒーリー。

f:id:wakaieriku:20170302232942j:plain骨折るど

お前、どした!?ってくらい肥大化したラッセルクロウが鈍い動きで暴力をふるいまくります。このヒーリーというキャラ、行動原理がよくわからないというか、倫理を説いたかと思えば必要悪ぶったり、なかなかふわふわしています。でも、そこも含めた存在の不条理感が70年代のLAのカオスな雰囲気に何ともマッチしていて、「その時代と土地を代表する男(ビッグリボウスキからのハンパな引用)」感を醸し出していて良いです。

 

 そして、アンガーリー・ライス演じる、マーチの一人娘ホリー。

f:id:wakaieriku:20170303013235j:plainパパは世界最下位なんだから

初めて見た女優さんですがとても良い。ライアンゴズリングと相性がよくて、ちゃんと親子に見えるというか。ちょっと「ペーパームーン」っぽいんですよね。ソフィアコッポラの新作にも出ているらしいので、今後の活躍に期待大です。

f:id:wakaieriku:20170303182237j:plain友達みたいな親子

あと、個人的に子供が車を運転する展開がわりと好きなんですが、宣材に出てきたホリーの運転シーンが触り程度の描写しかなかったのが少し残念。何を書いてんだ俺は。

 

では、他の面々をダイジェストでどうぞ。

f:id:wakaieriku:20170303165500j:plainドーン!

f:id:wakaieriku:20170303165554j:plainパーン!

f:id:wakaieriku:20170303165604j:plainドンドンパーン!

はい、クセが強くて最高ですね。

 

日本でバディものというとやっぱり文字通り「相棒」を思い浮かべますが、あれが基本的に「性格に難のある天才と、凡人だからこその視点でサポートする相方」という相互扶助の関係で名コンビになっているのに対して、

マーチとヒーリーは特にお互いの不足を補い合うといったことはありません。それどころか迷惑をかけ合うわ足を引っ張り合うわで、ダメの2乗でダメになっているような有様です。

でもその、利害関係とか技能とかじゃなくて、負け犬同士が互いに何となく目をかけているから一緒にいるみたいなバランスがとても好きです。ホリーも入れたこの三人を、こいつらずっと見てたいなと思える。それ以上映画に求めるものなんかないじゃないすか。ね。

 

脚本上のギミックも心地いいです。殺人バチとかニクソンとか嗅覚とか。意外なところがのちのちに利いてきたりするおもちゃ箱的な演出が楽しい。

あと、パーティ会場を真上から空撮するシーンがあるんですけど、カメラがぐーっと横に移動していった後、パッと向きを上げてLAの夜景を一瞬映してからパーティ内のシーンに切り替わるんですよね。そのせいで若干繋がりがおかしくなってるんですけど、そこが何か「ついでに夜景も見とけよ」って言われてるようで、こっちとしても「気が利くじゃん!」って気持ちになるというか。その融通が利く感、わかってくれてる感がこの映画の魅力の一つなんだろうなって。

 

 とにかく、見終わった後「あー、面白かっ…た!」とそのままイスごと引っくり返れる映画です。はい。ニュアンスで受け取ってください。

果たして飲んだくれと腕力と子どもで国家に立ち向かえるのか。もう公開終わりそう!見てない人は急いで劇場へ!

 

映画「ナイスガイズ!」公式サイト

 

好きな「LAダメ男」映画。そんなジャンルあるのか知らないけど。